若い気概と大人のわきまえ

2012-05-16

若い従業員に囲まれて、働いておりますが、羨ましいことはその若さ故の明るさと元気さでして・・・。人生の折り返し点を過ぎた自分としては、過ぎ去った自分の時代を残念に感じていました。大学を卒業以来、病院に拘束されておりましたから・・・。

従業員の方は、いつも元気に自分を支えてくれているが、自分の体力は疲弊していく一方と考えると、ちょっと寂しく感じておりました。

ところが、診察中に従業員の方がお腹をさすりながら、仕事をしているので、どうしたのか聞くと、

「なんでもないですよ〜。お気になさらずに。」

とのこと。何度も聞き返すと、ちょっと具合が良くないようですが、自分の都合を言って、僕や患者さんに迷惑を掛けたくないのでひたすら隠している様子。

僕自身は体調が悪かったり、機嫌が悪い時は、割と顔に出る方でして・・・。良くない癖だとは思いますが、開業してからは注意されることもないですから、直ることもなく現在に至っておりますが・・・。

若い気概と大人のわきまえを持った従業員に感服した次第。同年代の自分はお恥ずかしい限りの青年でしたので・・・。解剖学実習をエスケープした折、教官に呼び出されて『君達の教育には税金が使われているのだから、自覚を持ちなさい。』と説教されて、《じゃあ、その税金を僕にくれれば良いのに》と言いそうになった不遜な青年をタイムマシンを使って殴ってしまいたい気持ちに・・・。

若い人は宇宙人だとか、ゆとりの教育は失敗だったとかいっている学識者の方が多くおられますが、若い人に教えられることも多いのが現実です。今の教育は決して迷走しないと思いますし、新し果実が実りつつあると思います。

天罰?

2012-04-29

研修医の時に、『ペースメーカーを埋入されている患者さんへの配慮から、携帯電話は診療室に持ち込むな』と指導されてから、携帯電話は携帯しないというのが習慣となっていますが・・・。

それ以上に、『病に休日なし』なんですが、休日に携帯電話が鳴ると、ちょっと怖くなっている(最近は事故などの処置に自分一人で対応するのが、体力的に辛くなり)というのがありまして、余計に持ち歩かなくなりまして・・・。

それでも普段の休日は携帯電話の電源は入れているのですが、今月は歯科医師会の会務や学会で休日がとれずにおりましたので、本日は命の洗濯をさせてもらうつもりで携帯の電源を切っておりました。

すると自宅の固定電話が鳴りまして、なんだろうと電話にでますと、

ファイナンシャルプランナー云々(銀行関係?)の方で、『お得な話があるから』とのこと。内容はというと、投資信託の勧誘で、延々と興味の無いマネーゲームの話・・・。

不愉快な電話だなと思いつつ、聞き流しでおりましたところ、「先生、ちゃんと聞いていますか?歯科の先生は暇な時代なんですが、私達は非常に忙しいんですよ!」とのこと。

『じゃあ、こんな電話をしてこなければ良いのに・・・』と思いつつ、やっと長い電話が切れた時には重い重い疲労感に見舞われて・・・。

ズルいことを考えると天罰が下るようです。

免許の重み

2012-04-24

重篤なてんかんで免許付与が適切でない方や無免許の方が、歩行者の列に車で突っ込んで死に至らしめるという事故が頻発しているようですが・・・。

事故を起こした人の言い分としては、免許がないと生活が出来ないとか、免許取得者以上の技量があるとからしいのですが、えらく自分勝手な思考であると思います。

免許は資格とは異なり、一般の人が禁じられていることを、特定の人に限り、それを行うことを国が免じて許しているもので、それがないと他人に危害が及ぶ行為に設けられています。だから、僕が愛猫の散髪をしても免許はいらないんです。資格があった方が安心かもしれませんが、猫の知り及ぶところではありませんからね。僕がモグリの歯科医であればたちまち検挙されてしまいますが・・・。

研究医の知り合いがいますが、非常に優秀な方で患者さんの役には立ちたいが、患者さんは診ないとのこと。以前に訳を尋ねると、てんかんがあるとのことであったんですが、それならば外科系ではなくて内科系であれば良いのにと進言すると、

「免許は重いんだぞ。免許は、その行為を国が許可してやるかわりに、失敗を許さぬということだからな。また、臨床医が最高と思うな、研究医の方が患者さんにもたらす福音は大きいんだぞ。」

と言われ、彼の他の人への深い思慮に感心したことがありました。それ以降、免許への自覚が一変した次第です。

運転免許を取得する際には、自分の都合ばかりでなく、他人への思慮を持って行って欲しいものです。道路交通法では危険物を道路上に持ち込んではならないといった趣旨の記載がありますが、車で道路にでること自体が、免許のない方にとっては違法なんですからね。

今日一番の診療報酬

2012-04-21

歯科治療を生業としている自分が言うのもなんですが、歯科治療を受けるというのは嫌なもんだろうと思います。

以前は、幼少の頃に痛い歯科治療を受けた方が成長後もその記憶を引きずって(いわゆるPTSD)、歯科治療への嫌悪感が成立しているのだと思っていました。

その話を知り合いの獣医にしたところ、人間を含めた動物は口の中に異物を挿入されることは、生命の危機に直結することであるから、本能的に憎悪の対象となることであって、幼少時の体験はそれを加強するだけのとのこと。

子供さんが歯科治療を嫌がるのは、原始反応を含めて本能的な感覚が強いからだよとも付け加えられて・・・。

そんなことを聞くと、小さなお子さんの治療をするのがちょっと憂鬱になっていましたが・・・。

今日も治療中にずっとシクシクと泣いている小さなお子さんがおられまして・・・。歯科医というのは、因果な仕事だなとへこんでおりました。

そのお子さんが治療終了後に、泣きながら自分に話しかけてこられますので、なんだろうと聞いてみますと、

「先生、ありがとうございました。」

とのこと。びっくりすると同時に欣喜。小さなお子さんが一生懸命頑張っているのに、少し後ろ向きになっていた自分が少し恥ずかしくもありましたが・・・。『ありがとう』とは不思議な言葉ですね。

人をちゃんとみるということ

2012-04-12

従業員の方よりちょっと早く出勤して、従業員の方を迎えるというのが礼儀かなというのが持論でして・・・。ただ、寝坊もたまにありますが・・・。

早く出勤することで生まれた時間で、経過が気になる患者さんのカルテを見直したり、治療計画を立てたりとゴソゴソしています。

ただ、自分の職務の一環であって、誰にも評価はされぬことと思っておりましたが・・・。

ある日、従業員の方から、

「今日は早くから頑張っておられたんですね。お疲れ様です。」

と言われてびっくり。

何故、後から来られる従業員の方に僕の出勤時間がわかるのか不思議だったので聞いてみると、院内の温度でわかるそうです。

出勤するとまず院内の電源を入れますが、エアコンもその一つで、冬なら暖かくなっていれば早くから僕がいたんだろうなということらしいです。

「最近はちょっと調べものなどがお忙しいようですね。無理をなさらぬようにしてください。」

と言われまして、感激!

開業したら、従業員の方をちゃんとみて(評価して)あげるようにしようと思っておりましたが、ちゃんとみてもらっていただいていたのは自分の方だったんですね。嬉しさと一緒に、まだまだ自分には足りぬところがあることに反省しきりです。

プロフィール

奈良井聡

Author:奈良井聡
徳島県の開業歯科医です。

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